高圧ガス開閉器の自然劣化による波及事故 電気の事故例

電気事故の状況

高圧ガス開閉器付近から異音が発生。近隣を巻き込む停電に

事故の状況

ある事業所で、年次点検実施のため停電するべく引込み柱上の高圧ガス開閉器(PGS)と高圧地絡継電器(HGR)の連動試験を実施しました。すると、引込み柱上に設置してあるPGS付近から異音が発生し停電。すぐに地上から引込み柱上のPGSを確認すると、外箱が膨らんでいるように見えました。また、近隣には住宅・工場等はなく周囲の停電状況は不明でした。
異常を感じ、再度、周囲を確認するとともに電力会社の区分開閉器を開放し、電力会社に連絡。事故発生の工場を除き配電線を全送電するまで、事故発生から約30分間近隣を停電させる波及事故となりました。
なお、前年度における年次点検時にはPGSは正常に動作していました。

事故の状況

電気事故の原因

原因は、高圧ガス開閉器の劣化によるガス漏れ

事故発生のPGS(7.2kV 200A 1988年製)は、設置から20年近くが経過しており、絶縁のためにPGS内部に充填されているガス(※SF6)が漏れていたと考えられます。そのため、ガスのない状態(大気状態)での遮断となり、連動試験でトリップコイルが動作した時に励磁電流を遮断できず、発生した極間アークが相間短絡に移行し、三相短絡に至ったものと推定されます。

電気事故の再発防止対策

更新推奨時期を守り、計画的な取り替えを

高圧ガス開閉器の更新推奨時期は10年。波及事故を防止するためにも、更新推奨年を超えた高圧電気設備は、計画的に取り替えを進める必要があります。特に、屋外に設置する高圧開閉器や高圧ケーブルなどは、直射日光や風雨など過酷な環境に置かれることもあり、早めの取り替えが必要です。

※SF6
(六フッ化硫黄): 無色・無臭・無毒・不燃性・化学安定性の高い化合物。電気的にも極めて安定した化合物で、高電圧下における絶縁耐力、アークに対する消弧性に優れており、発生したアークにより解離(電離)しても、アーク消滅後、再び安定なSF6に戻る特長を有しています。

電気事故を防ぐための取り組みを

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