高圧ケーブルの自然劣化による波及事故 電気の事故例

電気事故の状況

工場が突然停電。約1時間近隣も停電させる波及事故に

事故の状況

ある日の午後、工場が突然に停電。同時に配電線も停電し、道路の信号も消えました。停電の連絡により原因調査に出動した技術員により、この工場の高圧ケーブルが原因と判明しました。
電力会社により引込開閉器を開放し、配電線を全送電するまで、事故発生から約1時間近隣を停電させる波及事故となりました。工場は、非常対策用高圧ケーブルで仮送電するまで約3時間の停電となりました。

時間 状況 電力会社
事故発生 状況 :事故原因の事象所以外に、配電線が停電し、広い範囲で停電した。 電力会社 :
  • 変電所保護継電器動作―遮断器開放。
  • 同時に配電線柱上に設置された区分開閉器自動開放。
1分後
再閉路不成功
状況 :事故原因が自然回復する場合もあるので、配電線を復旧させるため変電所遮断器を自動投入し、送電した。事故原因が残っていたため再度停電し、波及事故になった。 電力会社 :
  • 変電所遮断器自動投入。
  • 変電所側から区分開閉器を順次自動投入。
  • 事故点の区分開閉器を自動投入(再度地絡)。
  • 変電所保護継電器動作―遮断器開放。
3分後
再々閉路成功
状況 :事故区間を除き送電するために再び変電所から送電。事故発生事業所の近隣を除き復電した。近隣は停電が継続中。 電力会社 :
  • 変電所配電線遮断器自動投入。
  • 事故点以外の区分開閉器を自動投入。 (配電線のネットワーク化により近隣のみが停電)
20分後
原因調査
状況 :停電の連絡を受け出動した技術員により原因調査。 電力会社 :
  • 電力会社により引込開閉器開放。
1時間後
配電線復旧
状況 :受電用高圧ケーブル(出向かえ方式)が原因と判明したので、事故発生事業所を除き送電を完了した。事故発生事業所は停電が継続中。 電力会社 :
  • 事故原因が判明。
  • 事故点の引込開閉器を開放したまま区分開閉器を投入し、配電線復旧。
3時間後
仮復旧
状況 :電力会社の非常対策用ケーブルを借用し、事業所の停電を仮復旧した。 電力会社 :
  • 非常対策用ケーブルに繋ぎ換えた後、引込開閉器を投入して送電。
5日後
本復旧
工場の休日に停電して高圧ケーブルの取り替え工事を行い、本復旧した。

電気事故の原因

原因は、高圧受電ケーブルの自然劣化による地絡事故

事故を起こした高圧受電ケーブル(CVT6.6kV38sq)は、劣化で表面が変色し、白相には地絡痕(穴)がありました。施工から17年が経過しており、地中配管内に水が入り自然劣化(水トリー)により地絡事故を起こしたものと思われます。この事業所は、出向かえ受電方式で高圧受電ケーブルは保護範囲外のため波及事故になりました。

事故を起こした高圧ケーブル、高圧ケーブルの地絡痕(穴)

電気事故の再発防止対策

高圧ケーブルは計画的に取り替えを

高圧ケーブルの更新推奨時期は15年です。地中埋設の場合は配管に水が浸入すると水トリー現象により劣化が早まる場合があります。施工状態が悪い場合は、10年経過程度で地絡事故を起こした例もあります。
波及事故を防止するためにも、更新推奨年を超えた高圧ケーブルは計画的に取り替えを進める必要があります。また、高圧絶縁監視システムなどにより地絡事故の予兆をとらまえて、事故を予防することも大切です。

※高圧ケーブル取り替え時は、水の影響を受けにくい「E-Eタイプ」のケーブル使用を推奨します。

電気事故を防ぐための取り組みを

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