雷で計器用変圧器が焼損電気の事故例

電気事故の状況

落雷により、計器用変圧器が焼損

写真1:雷で焼損した計器用変圧器

雷雨の夜、お客さまから停電の連絡が入りました。状況をお聞きすると、事業所だけでなく、道路の外灯や信号も停電しているとのことでした。直ちに出動し、キュービクルの設置されている屋上へ行くと、キュービクル上部の換気口から煙が出ていました。
キュービクルの扉を開けると計器用変圧器(VT:写真)が焼損し、高圧真空遮断器(VCB)の周辺まで黒くなっていました。電力会社に連絡し、調査に来ていた電力社員により電力柱の引込開閉器を開放するまでの約40分間は停電しました。

計器用変圧器の絶縁抵抗値が低下。絶縁回復は翌朝まで持ち越しに

雨が降るなか、焼損した計器用変圧器を取り外し、清掃実施後に高圧設備の絶縁抵抗測定を実施しました。しかし、絶縁抵抗値が3MΩと低いため当日は送電をあきらめました。翌朝に再度清掃を実施し、絶縁抵抗値が200MΩに回復したため受電しました。
次の休日に、被害を受けた機器(計器用変圧器、高圧真空遮断器)を取り替えるとともに、キュービクル内に高圧避雷器(アレスター:LA)を設置しました。

電気事故の原因

落雷による異常電圧がキュービクル内に浸入

事業所の近隣に落雷したため、異常電圧が電線を伝わってキュービクル内に浸入し、計器用変圧器でアーク短絡を起こしました。出向かえ受電方式で、受電用遮断器の電源側に焼損した計器用変圧器が接続されていたため、高圧地絡継電器は動作しましたがVTは回路から切れず、配電線を停電させる波及事故になりました。

電気事故の再発防止対策

落雷対策に、避雷器(アレスター:LA)の設置を

雷は非常に大きなエネルギーを持ち、直接落雷した機器に被害を与えるだけでなく、落雷のエネルギーが電線を伝わり離れた場所で機器を破壊します。完全に防ぐことはなかなか困難ですが、事故を減少させるために避雷器(アレスター:LA)を設置するなど適切な対策を施すことが大切です。
当協会は、雷や洪水による受電設備の災害に対して、保安管理業務をご契約いただいているお客さまの負担軽減に役立つよう「受電設備保証保険」に加入しています。詳しくは担当技術員にお尋ねください。

電気事故を防ぐための取り組みを

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